エリプサ発見・網膜色素変性症解明の糸口に 

「繊毛異常の原因を解明」というニュース、眼と無関係と思ったら、
網膜色素変性症の原因解明につながるかも知れない発見だそうです。

■繊毛(せんもう)とは?

繊毛は生物の細胞の表面にある毛のような小器官で、微妙な変化を
感じ取って細胞内に伝える役目をしています。

繊毛は全身の細胞にあり、長さは千分の数ミリ、細胞1個につき
1本〜数十本の繊毛があるそうです。

繊毛の先端付近にはセンサーがあって、光や匂い、尿の流れを感じる等、
目・鼻・耳・腎臓などで重要な役割をしています。


■繊毛異常と眼の関係

そのため、繊毛に異常があると、体の機能に悪影響が現れます。
例えば、目の視細胞の繊毛に欠失があると網膜色素変性症に
なることが知られているそうです。

「エリプサ」の発見

この研究には、熱帯魚のゼブラフィッシュが研究材料に選ばれました。

ゼブラフィッシュは観賞魚としてよく目にする魚ですが、多産で成長が速いなど
研究に都合が良いため、脊椎動物のモデル生物としてよく用いられるのだそうです。

ゼブラフィッシュの中でも繊毛の長さが極端に短い変異体を選んで
研究を重ねた結果、変異の原因になる遺伝子が見つかりました。

その遺伝子からできるたんぱく質が「エリプサ」です。

「エリプサ」は繊毛を形作る過程で、部品を運ぶ分子をつなぐ連結器の
ような役割をするそうです。

「エリプサ」に異常があると、部品は運ばれずに繊毛の根元にたまり、
短い繊毛しか生えなくなると見られています。

「エリプサ」に相当するたんぱく質はヒトにもあり、同じような繊毛
形成の仕組みがあると予測されています。

この発見が、病気の原因解明や治療法の発見につながることを期待します。
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iPS細胞の網膜再生 10年後の目標 

iPS細胞の網膜再生治療の目標について書かれた記事を見つけました。
理化学研究所の網膜再生医療研究チームリーダー・高橋氏のインタビュー記事です。

■iPS細胞の網膜の再生治療の目標

記事によると、網膜再生研究者の現時点での目標は
「矯正視力で0.1程度の視力を得ること」だそうです。

網膜の再生ができればよく見えるようになると思われていますが
そんなに簡単ではないのですね。

また、iPS細胞での網膜の再生治療の可能性については
「10年後に光を見せ、20年後には人工網膜を超えたい」
と言っています。


■人工網膜とは

人工網膜は、体内に人工感覚器を埋め込んで、網膜に残っている神経を
電気刺激して視覚を回復させようという、いわば「電子の目」。

アメリカの研究チームが「アーガス2」と名付けられた
人工視力装置の臨床試験を開始したという記事が今年の3月に
読売新聞に掲載されていました。


■人工網膜の10年後

人工網膜研究者は「10年後には文字を読ませたい」と言っているそうです。

計算上、人体に埋め込む電極を1000本まで増やせば、人の顔や文字が
判別できると言われています。

臨床試験が始まった「アーガス2」の電極の数は60本。

もし本数を増やしてすむ話なら、10年後には目標を達成できそうです。


■万能細胞の網膜再生研究は始まったばかり

かたや、万能細胞での網膜再生の研究は、今はまだES細胞やiPS細胞から
視細胞ができたという段階です。

クリアしなければならないことも多く、すでに試験段階まで進んでいる
人工網膜を追い越すのは大変なことでしょう。


■過剰な期待をする前に

最近、iPS細胞の研究成果が強調されすぎて、過剰な期待を抱く人も
いますが、再生医療が現実のものになるまでにはまだまだ長い時間を
要することを理解して欲しい。

そして、新しい治療を待つばかりでなく、ロービジョンケアを活用して
現在ある視力を有効に使って欲しいと結んでいます。
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シロリムス(ラパマイシン)を眼疾患治療に 

シロリムス(ラパマイシン)製剤を眼疾患の治療用に開発・販売するため
日本の参天製薬とアメリカのマキュサイト社が契約したというニュース
ありました。

シロリムス製剤はウェット型の加齢黄斑変性や糖尿病黄斑浮腫などの
眼の病気の治療薬になる可能性があると書いてあります。

ウェット型の加齢黄斑変性および糖尿病黄斑浮腫の患者を対象にした試験で、
網膜の形態や視力に改善が見られ、安全性も確認できたそうです。

目をひいたのは、シロリムスの投与方法です。
結膜下注射、硝子体注射のどちらの方法でも効果が見られたと
なっています。

硝子体注射は、眼球の中までぶすりと針をさすので、高度な技術が必要で、
患者の負担も大きい方法です。

それに対し、結膜下注射は白目(結膜)の薄い膜の下に注射するので、
硝子体注射よりも患者の負担が少なく、眼の組織の障害も少ないそうです。

結膜下でも硝子体内でも同じぐらい効果が見られるなら、
負担が軽い方法を選びたいと思うでしょう。


■シロリムス(ラパマイシン)とは

シロリムス(ラパマイシン)はイースター島で最初に発見された天然の抗菌物質。
強い免疫抑制作用があり、細胞の増殖を抑える働きもあるとされています。

アメリカでは、腎臓移植患者の拒絶反応を防ぐ免疫抑制剤として
FDA(アメリカ医薬食品局)に認可されています。

また、シロリムスを使った「サイファーステント」は日本でも
認可済みで治療に使われているそうです。

狭心症などの治療で、狭くなった血管を広げるためにステントという
金属性の小さなチューブ状の筒を入れる場合があります。

「サイファーステント」は表面にシロリムスを塗ったステントで、
シロリムスを塗らないステントに比べて血管が再び狭くなる「再狭窄」が
起こりにくいと言われています。


■今後の予定

現在、糖尿病黄斑浮腫の患者を対象に第2相臨床試験が行われています。

ウェット型の加齢黄斑変性患者を対象にした試験は、今年(2008年)の
第2四半期に行うよう準備しているということです。


アバスチンなどのVEGF阻害剤は新生血管だけを叩くと聞きましたが
「免疫抑制剤」はどういう性格の薬なのでしょうか?

関係ない組織を叩いたり、細胞の正常な営みを邪魔することがないか
試験の結果に注目しています。
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