近視性黄斑変性 患者の10年後は 

強度近視で近視性黄斑変性になってしまったら、10年後の視力は
どうなるのでしょう。

■近視性黄斑変性について

網膜の下にある脈絡膜(みゃくらくまく)側から不良な血管が生え、
眼底出血やむくみによって視覚に障害が出る病気です。
多くの場合、黄斑部と呼ばれる眼底の中心部で起こります。

いくつか種類がありますが、強度近視の合併症でおこるものを
近視性黄斑変性といいます。

医療機関によって近視性血管新生黄斑症、脈絡膜新生血管など
いくつかの名称がありますが、ここでは近視性黄斑変性という
呼び方に統一します。

上で書いた不良な血管を脈絡膜新生血管(みゃくらくまくしんせいけっかん)と
呼びますので、頭の片隅にメモしておいてください。


■近視性黄斑変性患者の長期経過

東京医科歯科大学眼科学教室の強度近視グループは
約10年という長期に渡り近視性の脈絡膜新生血管の経過を観察したそうです。

その結果によると、強度近視で脈絡膜新生血管ができた患者は、
発症後5年以上たつと、半数以上が矯正視力0.1以下の低視力になってしまいました。

しかし、特別な治療をしないのに長期にわたって0.5以上の矯正視力を
保つ人も中にいました。

発症後5年以上経過したとき、64.9%は矯正視力0.1以下になり、
0.5以上の視力を保ったのは14%という割合だったそうです。

良好な視力を保てる人と低視力になる人の違いは何でしょう?


■5年後の視力を分けるもの

矯正視力0.5以上だったグループは、0.1以下のグループと比べて
次のような差が見られました。
  • 発症時の年齢が若い
  • 新生血管の病変部が小さい
  • 新生血管が黄斑の中心部(中心窩)をそれている
  • 発症時の視力が良好


発症時の近視の強さや眼球の前後の長さについてはそれほど
違いはありませんでした。

年齢が若い方が、網膜の視細胞を支えている網膜色素上皮の
働きが良いので有利なのではないかということです。

※網膜色素上皮は図のピンクの部分にあります。
網膜色素上皮


新生血管のできる場所や大きさ、発症時期は自分ではどうにも
できません。

残念ながら、結果を見る限り患者が自分で改善できる余地は
なさそうです。

5年後、大半の患者は0.1以下の低視力になったという結果は
自分の未来を見せられたようでショックです。

10年後は、好きな本でも読んでのんびり暮らす予定だったのですが。


※近視性脈絡膜新生血管の長期観察研究について補足
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網膜色素変性症に緑藻で視力回復 

網膜色素変性症で失明したラットの視力を回復させる実験が成功したという
ニュースを聞きました。

実験に成功したのは、東北大先進医工学研究機構の研究グループで、
緑藻類の遺伝子をラットの網膜に注入して視力を回復させました。

緑藻類(りょくそうるい)とは、緑色の光合成色素を持つ藻類のことで、
身近な例では、側溝にいるアオミドロや海藻のアオサなどが該当します。

今回の実験で使用したのは、水田など淡水域の湿地にすむクラミドモナスから
取り出した遺伝子です。

この遺伝子には光に反応して神経細胞を活動させるタンパク質を作る
性質があるそうです。

網膜色素変性症で失明したラットの網膜に、この遺伝子を注射してから
6週間後に視力回復が確認され、注入後1年以上効果が続いているとのことです。

人間に使う場合は、網膜に遺伝子を注射する方法が考えられます。
注射であれば治療時間もあまりかからないでしょう。

安全性の検証は今後の課題になりますが、もし実用化されれば
網膜色素変性症や加齢性黄斑変性症の治療に応用できるそうです。

ラットには聞けませんが、どのくらいの視力が得られたのか知りたいものです。
これから研究が進んで、良い結果が聞けることを期待しています。

万能細胞を使った研究とどちらが早く実を結ぶでしょうか。


最近、目に良いニュースが続いて、記事を書くのが追いつきません。
 ↓
・iPS細胞でマウスの網膜細胞作製に成功(2008/3/3)
・人工視力装置、米で臨床試験開始(2008/3/2)

うれしい悲鳴です。
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ケナコルトの写真 

ケナコルト(トリアムシノロン)の瓶の写真を見つけました。

ケナコルトはステロイド製剤の一種で、黄斑浮腫(おうはんふしゅ)という
網膜中心部のむくみに用いる場合がある薬剤です。

病院サイトめぐりをしていて、長野県のある眼科病院のサイトに
ケナコルトAの薬瓶のアップ写真が載っていました。

>>松田眼科(長野県塩尻市):最近の網膜静脈枝閉塞症の治療


商品名はケナコルトA、一般名はトリアムシノロンアセトニド
いわゆるステロイド・合成副腎皮質ホルモンだそうです。
(軟膏もあるみたいですね)


記事は2007年2月のもので、次のような説明が載っていました。


網膜静脈枝閉塞症は眼底出血をおこす代表的な病気です。

治療はレーザーによる光凝固が主体でしたが、黄斑浮腫と呼ばれる
網膜中心部のむくみで視力が低下することが多いため、近年は治療法が
変化しつつあります。

ひとつは硝子体手術、もうひとつがトリアムシノロン(商品名ケナコルト)
という薬物治療です。

これらの治療を単独あるいは併用することがあります。

ケナコルトは注射薬で、硝子体内やテノン嚢下と呼ばれる眼球の周囲に
注入します。

ケナコルトは新しい薬ではありませんが、網膜静脈枝閉塞症や糖尿病網膜症でおこる
黄斑浮腫、新生血管黄斑症、ぶどう膜炎にもつかわれています


私が通っている眼科では、硝子体手術にアバスチンを併用するという話を聞いています。
医学の進歩で、治療の選択肢がだんだん増えていくのは有難いことです。

タグ:ケナコルト
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