アバスチンVSルセンティス 比較試験の結果 

以前、アバスチン(ベバシズマブ)とルセンティス(ラニビズマブ)の比較試験が
行われるという記事を書きました。

【過去記事】アバスチンとルセンティスの比較試験

CATT Studyと呼ばれるこの試験は、アメリカの国立眼病研究所(NEI)が実施する
大規模試験で、1107人の加齢黄斑変性症の患者にルセンティスかアバスチン
いずれかを2年間投与して有効性と安全性を評価するものでした。

この試験の結果が既に出ていたのを発見しました。

発表は2012年5月14日のノバルティスファーマ社のプレスリリースです。

「ルセンティス」との比較によるCATT試験で、滲出型加齢黄斑変性に対して未承認のベバシズマブ硝子体内注射に伴う重大な安全性上の懸念が明確化

この発表によると、安全性でも効果でもルセンティスの方に軍配があがったようです。


安全性について


2年間の試験データによると、滲出型加齢黄斑変性に対して、アバスチンは
ルセンティスとくらべて重篤な全身性有害事象全般のリスクが30%高いという結果でした。

動脈血栓性事象、全身性出血、うっ血性心不全、静脈血栓性事象、高血圧、
血管死などの発生頻度がアバスチンの方がルセンティスより高かった。

また、胃腸障害が起こる頻度も、アバスチンを使った患者の方が多かったそうです。


効果について


評価結果は、アバスチン硝子体内注射に比べて、ルセンティスの方が
優れている傾向が認められました。

試験開始から2年経過した時点で、必要に応じてルセンティス硝子体内注射を
受けた患者の2年目の平均注射回数は5.7回。
患者は1年目に改善した視力を維持しました。

対して、必要に応じてアバスチン硝子体内注射を受けた患者は、2年間の注射回数は
より多かったのに、視力は大きく低下してしまいました。

形態学的所見での評価でも、ルセンティス注射を受けた患者の方が有意に改善が
認められたそうです。


今回の実験は、滲出型加齢黄斑変性の患者に対しての未承認のアバスチン注射は、
ルセンティスに比べて、副作用のリスクが高いことを示す根拠を追加するものに
なりました。

この実験ではありませんが、メディケア・データベースに基づく大規模解析でも、
アバスチンはルセンティスより脳卒中や眼炎症発生リスクが高いと報告されました。

アバスチンはもともと目の薬として開発されたものでは無いから、ルセンティスと
くらべて安全性のリスクが高いことが明らかになっています。

ルセンティスの方は2006年の発売以来、世界中で100万人以上の治療実績があり、
安全性を示し続けているようです。


私は過去にアバスチンを注射していますが、この結果を見て、アバスチンを
何回も打つのは考えものかなという印象を持ちました。

現在、ルセンティスは加齢黄斑変性だけでなく、網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫、
病的近視での脈絡膜新生血管、糖尿病黄斑浮腫でも健康保険で使えるようになりました。

安全を考えるとルセンティスが良いのでしょうが、薬代が高いのがネックです。
3割負担でも1回の注射で55,000円というのは経済的にきついですよね。

近視は眼病のもと -目次 | VEGF(血管内皮増殖因子)阻害剤


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